[本文一部改訂 00/1/26]
M.O.W 選手紹介 活動記録 Slam-Review.com

11.22開幕戦11.24第二戦11.26第三戦11.28最終戦


M.O.W
『マスター・オブ・リヴェンジ』
98年11月28日 最終戦:日本武道館

(結果の表記の見方:○=勝ち、×=負け、■=R.O.勝ち、□=R.O.負け、△=両者R.O.)

 あの10.4からもう二ケ月が経つ。M.O.Wの歴史の中でもひと際重要な1日だったあの全面対抗戦は、確実にM.O.Wに新しい風を吹かせた。BJPからあぶれた震助らは、M.O.Wの人間として初めてシリーズに臨んだ。その話題だけでも、充分に観客動員数を稼いだが、それが一番著しく現れるのがこの日本武道館である。最終戦はシリーズのテーマの帰着点である故に、最終回だけは見たいという観客の心理が有効に働くのである。

 では、今シリーズのテーマはというと、1:海崎vsブロンソンの二冠戦、2:大和鉄之助とは何者か?3:英連邦タッグの次期挑戦者は誰?4:M.O.WJrの存在価値、であると思われる。

 はソウルフライ、東京、峯川の三人が揃った事で価値が見えて出している。については、第二戦から表面に現れた事だが、M.O.Wには無かった若手間の良い意味での闘争が生まれようとしている事は、注目に値するだろう。も大和の試合内容がここまで不敵な状況が続いているため、震助との師弟対決は先が読めない、ある種M.O.Wにとっては賭けのカードとなった。は第二戦で海崎がブロンソンに直接黒星を喫したが、次の第三戦でキッチリ雪辱とこちらも先の読めない流れになっている。どちらが勝つか?二つのシングルにはそれが視点となった。では結果は?それは御自分の眼で御確認を。

 また第4試合後の休憩時間中に、次期シリーズ『ファイティング・ザ・ワールド』シリーズで開催される“世界ストロンゲストタッグリーグ”の全参加チームが発表された。


▼第1試合 シングルマッチ・10分1本勝負▼
鹿嶋 嘉晃 VS 藤岡 剛

↑新技イントゥ・ジ・ホライズンが炸裂!!

 押せ押せスタイルの鹿嶋だが、今日は小技でも藤岡を寄せ付けない。中盤からはいつもの勢い任せの展開になるが、藤岡のスープレックス3連発に大苦戦。しかし、大技には大技が鹿嶋の気概である故、今シリーズから使い始めた新技とジャンピングボムを連発、藤岡の連勝を阻止に成功した。
 実は鹿嶋、この最終戦第5試合に抜擢された魚頭よりも1つ年上。数カ月のデビューの遅れがこれだけの差になるとは皮肉なものであるが、鹿嶋は腐っていない。「逆転してみせます」と言うと鹿嶋はセコンドの仕事に付いた。頑張れ鹿嶋。[大石]

■第1試合結果■
鹿嶋○(8分26秒 ジャンピングボム→エビ固め)×藤岡


▼第2試合 Jr.6メンタッグマッチ・30分1本勝負▼
ソウルフライ & 東京ZIN & 峯川 保
VS
J・桑平 & デフ・レオパルド(横浜プロレス) & ダーク・アベンジャー

↑“十字職人”のビクトル腕十字がアベンジャーに綺麗に決まる

 M.O.WJrはピッコロが居なくとも価値のあるモノ、と先日定義した。ただ、価値といっても今はまだその第一段階に過ぎない。加入したばかりの峯川はまだこれといった結果がなかったが、第三戦で自ら白星を飾り、ささやかな自己主張を開始した。峯川は、BJPでWCA世界Jrを腰に巻いた経歴があるものの、ソウルフライの前ではその栄冠もいささか物足りない感は否めない。だが、M.O.WJrがもっと向上するには峯川の存在は絶対に欠かせないのだ。

 さて、最終戦は開幕戦と同じ6メン。となれば、シリーズを通してどう彼等が変ったのかがポイントである。まあたかが4戦で、そう直ぐに変るものではないのだが...。
 それでも、彼等は試合毎に学んでるのは間違いない。ソウルフライも東京もシングルで敗北し、苦い思いをしている。峯川はタッグではあるもののM.O.W所属選手として初めて勝ち星を得た。まだ確かにギクシャクした部分があるが、合体攻撃も開幕戦よりも出て、メキシコ軍のチームワークに対抗していた。

 東京とのリマッチで秒殺をかましたレオパルドは、M.O.Wトリオを相手に堂々と立ち回る。特にソウルフライとの絡みはなかなかの見物であった。アベンジャーも、レオパルドのシュミット式バックブリーカーから、ダイビングセントーンと素敵な連携を見せる。シングル戦が無かったため真価が発揮出来なかったかもしれないが、華麗な技の数々はダーク・アベンジャーの名を確実にファンの心に刻んだであろう。

 東京の猛ラッシュが6分過ぎ頃に桑平を襲ったが、熱血チョップ、裏DDTからムーンサルトまで喰らった後、何も無かったようにカイザーボムでお返し。峯川にも、キックで渡り合い存在感の違いを見せつける。
 終盤、東京がアベンジャーに捕まり、エグイ角度の投げっ放しタイガーSPを喰らって危ない所だったが、“十字職人”峯川がそれを救った。ビクトル腕十字は惜しくもブレイクで終わっても、間を置かずに得意のノーザンライト!!追い上げる立場の峯川の勝利は、良い意味でソウルフライ、東京の刺激になるに違いない。

 そして、試合後に大きなサプライズがあった。J・桑平がM.O.Wへの移籍を宣言したのである。詳しくはコメントを読んで貰うとして、桑平の加入はまた今とは違ったM.O.WJrの姿を提示してくれる筈である。M.O.WJrの確固たる土台作りは、まだまだ続く。[谷町]

■第2試合結果■
峯川○(16分2秒 北斗原爆固め)×アベンジャー

■桑平のコメント
「今日で最後?いや来年にはまたここにいる!!まだDMLLとの契約があるが、それも今年一杯。MWAに出てたのもDMLLの契約の一端さ。ここのJrは日陰の存在だったけど、こういうとこの方がやってて面白いんデスヨ。来年にはここに戻ってきますカラッ!!!フロントともすでに話はついてるからね。これは例えばの話なんかじゃあないデスよ!!!!」

■峯川のコメント
「これで二つ!!どんどん勝っていきますよ!!俺は!!以上!!」
■ソウルフライのコメント
「レオパルド選手と手合わせした結果、シングルやってみたいかなと。ZINの試合見せられたらね。(ここで桑平M.O.W移籍を聞いて)ほんとですか?会社からは聞いてなかったです。いいんじゃないですか。外人呼ばなくてもタッグも出来るようになるし。それにあの強さですから踏み台にし甲斐があるでしょう」
■東京のコメント
「なんだと!!あの“J”がウチに?物好きだーね、まったく。ピッコロのオッサンより強いんだぞ“J”は!!いささかまいったので、ちょっと放尿してきま〜ス!!アッ!!いっけねぇ。レオポニアンに用があったんだボク。何って?腹いせにモウタルブラスト喰らわせてくるのに決まってるじゃないカ!!俺樣のモウタルなガスで奴を秒殺ジャイッ!!じゃあイッテキマ〜スゥウッ!!(ヴボッ!!)テヘヘ、漏れちった」


▼第3試合 タッグマッチ・30分1本勝負▼
左近 番斎 & 門仲 伝奇
VS
五十嵐 拓磨 & 近藤 勝利

↑観客の度胆を抜かせた五十嵐のスターダストプレスだったが… ↑番伝の連携の良さは群を抜いている。同時の投げが見事に決まった ↑駄目押しのバンザイ・サルト!!

 プレ英連邦戦と言われたこの試合で、番斎と門仲は王者の強さを早くも見せつけた。末端から勝ち上がった男達は伊達ではない。という事だろう。

 門仲と五十嵐が先発で始まったが、試合をいきなり動かしたのは五十嵐の投げッ放しジャーマン。そこからカツトシが胴絞めスリーパーに入れば、番斎は激しくストンピング。そのまま門仲と入れ替わり、カツトシとの乱打戦に突入。場外戦を挟んで再び打撃戦になると、番斎の掌底でカツトシは流血。しかも番斎は直後に拷問キャメルを仕掛けるという非情振り。しかし、五十嵐にカットされその上ギロチンから拷問キャメル!!拍手喝采。番斎の容赦の無さのせいか、観客のだいたいが五十嵐・カツトシ寄りになったようだった。

 BWP練習生時代、番斎は五十嵐にとって1年先輩のJr戦士だった。機械体操出身の五十嵐はその身軽さを買われ、首のリハビリの傍ら番斎の練習パートナーをしていた時期がある。技の開発を通して、共に実験台になる関係が続いていた。番斎の離脱で、その関係も終止符が打たれたが、両者は再会を誓った。
 M.O.W旗揚げ当時、番斎には身近なライバルの存在がなかった。それも太宰や元BJP勢の加入で、懸念だった団体内でのライバル不在も解消される。特に五十嵐は、身近すぎる程のライバルとなるだろう。実際に試合で闘うのはこの日が初めてだった二人。明らかに意識し合っている。なるほど、番斎はこの方が魅力的だ。

 5分を過ぎるとほとんど受けに回っていた番伝が、その猛威を振い出した。カツトシは流血のダメージが徐々に現れ、動きも鈍くなる一方。五十嵐はロンリーバトルを強いられるが、門仲にレイジングブリゲイドを決め、さらに五十嵐の代名詞になるだろう、スターダストプレスまで繰り出したが、英連邦王者・番伝には通じなかった。
 直後にキリングエッジ二連発を炸裂させた門仲はカバーへ。カツトシのカットで危険を回避したが、次の瞬間、門仲はカツトシをフロントホイップ、番斎は五十嵐に裏投げを同時に決めるという光景を作り出したのである!!
 観客がどっとなる中、門仲は番斎にスイッチ。最後は俺が決めるとばかりに、ファーストテイカー(フィッシャーマンDDT)からダイビングヘッド、さらにファーストテイカー。徹底的にダメージを与えた番斎は満を持してのバンザイ・サルト(ムーンサルトフォール)で五十嵐をピン。すでに王者の風格さえ窺える勝利だった。

 勝ち名乗りを受けた番斎はそれだけでは終わらせなかった。敗者の五十嵐達に爆弾要求を突き付けたのだ。マイクを握り、「それで俺等に挑戦出来ると思ってんのか?アッ?だったらICBMの赤沢のタマ取ってきやがれッ!!そしたら挑戦させてやらぁッ!!」それだけ言うと番斎は門仲と共にリングを降りた。この時から五十嵐の心は決まっていたようだ。
 一週間後、五十嵐・カツトシはICBMに乗り込む事になった。相手は赤沢ハヤトとタイガー・ファントム。これは英連邦を巡る激戦へのプレリュードである。『競い合うヤングジェネレーション』ICBMの提唱は、英連邦タッグにピッタリの言葉だ。ここに多くの団体が関われば、意義も高まる。集えヤングジェネレーション!!そして始めよう!![大石]

■第3試合結果■
番斎○(10分33秒 バンザイ・サルト)×五十嵐

■番斎のコメント
「あいつらに負けるようじゃ、俺達はチャンプでいる必要なんてねぇよ。今年中に(防衛戦が可能か)は難しいかもしれんが、流れだけでも作っておきてぇんだよ。でなきゃ意味がなんもねぇ。それに身内で回しても面白かねぇよ。なあ伝の字?」
■門仲のコメント
「自分としては多くの選手とやりたいんで、その方がいいですね。今日も面白かったです。五十嵐さんのアレ(RBかスターダスト)利きました。一瞬息止まりましたよ。思わずキリングエッジ連発しましたけどね。それでお相子って事で」


▼第4試合 タッグマッチ・30分1本勝負▼
國重 龍紫 & 石本 五十六
VS
ジョニー・キング & ポール・ロウンムーグ

↑石本の延髄斬り!!ジョニキンの頭部に衝撃が走る ↑ランニン'USAが遂に爆発!!ただでは終わらなかった

 早くも石本・國重の“昭和”師弟コンビがM.O.Wマットに登場した。もう少し勿体ぶっても良かった気もするが、ファンとしてはやはり早く眼にしたいというのが本音であろう。しかし、休憩前の第4試合ともあり、まだちらほらと空席が目立つ。番伝vs五十嵐・カツトシのプレ英連邦戦も第3試合という位置ではあるが、見逃すには惜しいカードだったと思う。
 だが、こればっかりはどうしようもない。今回、その下に降ろすカードがないからだ。この試合にしても興行のまん中の位置。選手層が厚くなった事で、カード編成にかなり頭を悩まされるようになったと宮下営業部長は言う。「うれしい悲鳴ってとこですかね」とニヤリとした宮下氏は無言の内にM.O.Wの充実を語っていた。

 さて、師弟コンビに注目が集まるこの試合の主役は、石本でもなければ國重でもなかった。その主役の座を力任せに奪い取ったのは“トニィ.リトゥルを裏切った男”ジョニー・キングだった…。

 試合開始直後、國重と対峙したジョニキン“JK”は、チョップ、エルボー、キックの一遍等。國重のドラゴンスクリューで何度も回されても殴る蹴るだけの“JK”。何とも分り易い。また、かなりのアッピール好きなので、シツコイまでにオーディエンスを煽る。
 一方、堅実なロウンムーグはアームホイップからスリーパー。國重と手が合うのか、テンポの良い攻防が続く。それは石本に替わっても同様だった。太宰が言うには、ずば抜けたものはないが、トータルな意味で巧いというロウンムーグ。確かに試合の組み立てを見てて違和感がない。

 國重のドラスクから石本のアキレス腱固めという連携で試合に色が付くと、全体の流れにも変化が生じて来る。ロウンムーグが石本の岩石落としでピンチになったとこで、再び“JK”の出番が訪れた。しかし、キングクラッシャーしかしない“JK”。シツコク出す事全五発。内訳は石本三発、國重二発。昭和コンビはコンビネーション面で応戦するが、意外にスタミナのあるこのメリケン野郎に押し負けてしまう。

 そして、フィニッシュは必殺ランニン'USA!!その破壊力は、石本のタフネス振りをも凌駕するものだった。國重の控えるコーナーに激走するとジャンプ一番、強引にマットに叩き付ける!!グッタリとした石本にレフリーが駆け寄ると、ゴングを要請した。一撃必殺、である。思わず飛び出した國重にもオマケの肩掴み延髄!!今シリーズこれといった結果のないままだったが、最後になってこの強烈なインパクト。この男は侮れない。

 12.6横プロ興行出場のため、トニィが日本に戻ってくる。「トニィは糞だ!!そのファンはもっと糞だ!!BOS?知るかそんなチキン軍団。ムーヴメントは俺が作る!!俺は飢えてるんだ!!」トニィ人気へのジェラシーが“JK”を突き動かした。MWAでは再び抗争に入る。いや抗争はまだ続いているのだ。ジョニー・キングが日本で残したインパクトにトニィはどう返答するのか…?[谷町]

■第4試合結果■
石本×(10分17秒 ランニン'USA→KO勝ち)○ジョニーK

■國重のコメント
「う〜ん、石本さん大丈夫かな?ロウンムーグは良いね。じっくりやってみたい選手だ。JK?はっきり言って下手だね。それを補ってるのがあの身体と精神力じゃないかな。ムラっ気があるけどハマると強いっていう典型だ。何するかわからない分、脅威だよ」


▼“世界ストロンゲストタッグリーグ”出場チーム発表▼

 第4試合後、休憩時間に入った。しかし、今日はいつもより席を立つ観客が少ない。そう、何故なら今日のこの休憩時間中に、次期『ファイティング・ザ・ワールド』で開催される“世界ストロンゲストタッグリーグ”出場チームが発表されるからである!!リングアナの声に従って、次々に出場チームが発表された。
 全8チーム、メキシコ、カナダ、イギリス、アメリカ、ドイツ、日本A、日本B、フランスの順で発表されたが、各国毎に「おおー」という反応が続く中、日本Bチームの発表でかなり大きな反応があったものの、最後のフランスではさらなるどよめきが起きた。では、わかりやすく並べ直すと以下の通りである。

“世界ストロンゲストタッグリーグ”出場チーム


日本A(M.O.W)
“メテオストライク”海崎礼爾
“ランニングワイルド”太宰陸帝


日本B(M.O.W)
“熱すぎる剛腕”元木震助
“人間マンモス”マンモス西郷


アメリカ(MWA)
“マッドブル44”ドン・ギャラガ−
“暴走七面鳥”ワイルド・ターキー


カナダ(MWA)
“人間圧縮機”エドワードポートノイ
“銀狼”ジンク・チャンドラー


ドイツ(MWA)
“ブロンズの爪”キラー・カイル・クラック
“ナチの妖鬼”アーノルド・デートリッヒ


イギリス(MWA)
“アイリッシュガナー”スティーブ・ラムゼイ
“ウェールズの魔術師”マット・スチーヴンス


フランス(MWA)
“ラ・モンストレ”ダイノ・ジューダス
“華麗すぎる三世”ゴウジャス・ベンジャミン三世


メキシコ(DMLL)
“原色貴公子”ミル・グラマラス
“イヴィルボッツ”シデルヘリノ

 国別のチームと選手名のみの発表で、各選手詳しいプロフィールが現時点ではわからないが、ギャラガー、ポートノイのビッグネームがある上に、噂通り欧州の怪物ジューダスの名まであるではないか!!そして、予想通り日本Aとして海崎・太宰のドル箱コンビがエントリーしたが、日本Bは大和・石本の“鉄鬼砲”ではなく、大穴の震助・西郷のコンビ!!この抜擢がリーグ戦にどう影響するかが見物である。
 それにしてもこれだけの陣容を揃えた事は、全国展開を控えるM.O.Wにとってはプラス要素となるだろう。後楽園ホールから始まり、武道館で終わる事は変らないが、その間には北は札幌、南は博多と駆け回る事になる。晴れて全国区のM.O.Wとなるためには次期『ファイティング・ザ・ワールド』及びに、“世界ストロンゲストタッグリーグ”の成功が必須条件。さあどうなる!!乞う御期待!!


▼第5試合 6メンタッグマッチ・45分1本勝負▼
太宰 陸帝 & マンモス西郷 & 魚頭 玉三朗
VS
アル・ハッサン・ハキム & シドニー・ブーマー & ジェシー・ペイガンJr

↑西郷と魚頭のコンビネーションが次々に決まる。赤パン兄弟誕生か!? ↑ブーマーのパワーボム

 M.O.Wで一番デカイ西郷が2mジャスト、二番目にデカイ太宰は195cmという、日本人離れした体格の二人に、体長182cmのオツユ魚頭がドッキング。なんともキテレツな人選である。外人サイドも中々の大きさで、見応えのある一戦になるだろうと期待が膨らむ。
 が、ジョニー・キングだけが浮いていた前の試合と違い、この面子総てがダイナミックテイスト。良くも悪くも、ダイナミック。野暮な事を言わずに、まあ試してみてよ。大味もいいもんだよ。ショッパイ?かもしれない。でも、これもプロレス。では召し上がれ…。

 オツユ魚頭が先陣を切って、今シリーズ悪辣な行動が眼に付くハキムに何と腕よっつを挑むとボディスラム!!ダイナミックにも基本が必要という事だろう。でも、ハキムは釣り鐘ストンピンでお返し。悪だ。
 ヘタれ外人の汚名を第三戦で晴らす手前までいったペイガンJrは、今日もハッスル…だったが、西郷が出てくると一気にヘタれに逆戻り。いや西郷の人間凶器振りと比較してはペイガンJrに失敬だ。でもヘタれてるのは事実。太宰が出て来てさらにサンドバック状態。こうして見てると西郷・太宰はインチキ臭い程の強さである。

 太宰の源流は現代アメリカンプロレス。太宰はド派手な大技を次々に繰り出し、観客のハートを鷲掴み!!ただ、ハキムの攻めに苦戦する辺りが、まだまだ若手の域を脱してない事を如実に現しているように思えるが、それもまだ当然。キャリア4年の太宰にとってはハキムはまだ実力的にも格上の存在なのだ。
 西郷との格付けの違いでもM.O.Wフロントも様子見らしく、ネームヴァリュー的に太宰の名前を前に出しているが、いつでも西郷との入れ替えが出来るように考えているのだという。“世界ストロンゲストタッグリーグ”の西郷起用の背景には、西郷のさらなる潜在能力を引き出す狙いがあるようだ。今シリーズの内容を見てもどうも西郷に軍配が上がると見て言い。魚頭との連携の良さは特筆物で、太宰はそれに比べて、自分の事で手一杯という印象。第三戦でもカツトシをリードし、華を持たせた器量はこの日も光っていた。

 その西郷のバックフリップでハキムが戦線離脱。ここを魚頭に任せてブーマーに狙いを付けたが、どうしても魚頭が攻め切れない。拝みパワーボム等持ち技を放出していくが決定打にはならないため、攻め疲れてしまう。
 これはいけないと、西郷がタッチを求めバトンタッチ。締め方もまた粋だった。魚頭が引っ込む前に魚頭主導の合体パワーボムをやってから、拷問コブラツイストでキッチリ仕留めている。魚頭に伸び伸びやらせて、しっかりフォローと、今日の西郷は何だか素敵だった。

 ドタバタして、内容が散漫だったかもしれない。でも、気はやさしくて力持ちを地でいく西郷のその姿に、このせち辛い御時世で擦り切れたボク達に足りない、ちょっとしたサムシングがほんのり見えた気がする。[谷町]

■第5試合結果■
西郷○(15分32秒 拷問コブラツイスト)×ブーマー

■西郷のコメント
「魚頭ゥ〜、もうちょっとだったゾォウ。ワシとしては、また組みたいノウ。赤パン兄弟?いやァ、今日は太宰が白だから紅白饅頭ってェとこかノ。グワッハッ!!!タッグリーグ出場?己自身がどこまで通用か、とにかくぶつかるまでジャ!!」
■太宰のコメント
「西郷さんに比べて俺には余裕が無かったね。リーグ戦は、海崎さんの足引っ張らないようにするだけだよ。自分の力を信じて、ファンに夢を与えるのが俺達の仕事だし、ファンがいる限り俺は走り続けるから!!」
■魚頭のコメント
「もっとがんばりマッスル」


▼第6試合 特別試合・時間無制限1本勝負▼
大和 鉄之助 VS 元木 震助

↑大和の起き上がり小法師チョップ(左)、震助のマシンガン剛腕逆水平という激しいチョップ合戦を展開 ↑スケラリアットで大和の巨体がいとも簡単に吹っ飛ぶ!! ↑落差約2m40cmの神風ボムが、全てを断ち切った…

 師弟対決。大和の『男』に惹かれこの世界に足を踏み入れた震助。リング上のその震助の表情は岩のように硬く、眼が宙を泳いでいる。師との二年間の空白は震助に何を与えたのだろうか?

 大和はBWPを離脱する間際、震助にさえ何も言わずにアメリカへと向かったという事は以前書いたが、大和にすればこれは子離れという意味もあった。震助にすれば親離れの良い機会だった。震助らのM.O.W参戦は結果的に入団まで進んだが、その裏で大和がM.O.Wフロントに働き掛けていなければこの話も御破算になっていたとも言われる。BJPの崩壊が決定的になると、大和は西郷にM.O.Wへ行く事を進言している。
 この時、何故震助に直接伝えなかったのか?それは震助への配慮だったのかもしれない。大和の影響下にまた震助が置かれるとなれば、“大和の弟子”という言葉がまた表に出て来てしまい、震助個人の否定に繋がってしまう事を危惧したのだろう。10月には日本に戻る予定だった大和が、さらに調整期間を伸ばした理由もまたそこにあったと推測出来る。

 ゴングと同時に震助が想いを振り切るように動いた。師・大和に対し、この二年間の空白を埋めるごとく逆水平、袈裟斬りチョップと大和の肉体にひとつひとつ刻み込んでゆく。大和はトーキックをぶち込み倒れたところに震助の後頭部に膝を投下。ならばと震助はスコーピオンで大和を捕らえる。腰に負担の掛かる技で攻め立てる震助。腰へのストンピングを見ても震助の覚悟は出来ているという事だろうか。

 ショートレンジからのラリアットを放つと、震助は躊躇する事無く大和をロープに振る。スケラリアット!!大和の巨体が空中で一回転しマットに叩き付けられると、武道館が大きく揺れた。そこから震助はさらに延髄斬りで追い討ち。感傷に浸るつもりはない!!これで大和の失速は間違いないと思われた。
 では、リング上の光景は何なんだ?大和は失速するどころか、攻めのペースを上げている。起き上がりこぼし式の逆水平で震助をなぎ倒し、場外で震助がパワーボムを狙ってもリバースで切り返し、またも起き上がりこぼし。震助の顔の焦りが見え出す。

 ここから師弟対決は激化。神風ドリラーに対抗し、震助はノーザンライトボムを放ち、終盤はパワーボム合戦の様相を呈して来た。そしてチョップでなぎ倒し合う二人。肉弾戦だ。だが、何故かラリアットが出ない。ここで出さなくてどうする?“男”が欲しいんじゃないのか?「スケラリアット!!」観客もじれったく感じ出したようだ。ラリアット二発で勝てる相手ではない事がわかっている筈なのに…。
 この時点で、大和の勝ちは決まっていた。震助の袈裟斬りチョップを喰らっても難なく起き上がってくる大和。そして、落差約2m半の神風ボム。震助をマットに眠らせた大和は、無言でマットに大の字になる震助を見下ろす。その眼には静かなる怒りが浮んでいる。そして、観客席から「それで良くタッグリーグに出れるな!!」と罵声が浴びせられた…。

 震助の中には、大和鉄之助という存在がいつまでも消える事なく影を落としていた。震助はその影に飲み込まれ、海崎戦に続き、大和との大一番も落としてしまっただけでなく、逆に大和の強さを浮き彫りにする形となった。海崎が手こずった震助を余裕を持って崩したのは、何よりも大きな証拠だ。
 試合後、大和は語る事はないとノーコメントだったが、苦虫を噛み潰したように渋い顔には「震助、貴様は二年間何をしてたんだ?」という問いが浮んでいた。“世界ストロンゲストタッグリーグ”震助はここで結果を出さなくてはならない。観客の声に応えるためにも。大和の弟子ではなく、元木震助“自身”のためにも。そして、師と弟子の関係ではなく、男と男の闘いをもう一度見せて欲しい。[大石]

■第6試合結果■
大和○(7分2秒 神風ボム→エビ固め)×震助

■震助のコメント
「もうやるしかない。後がないんだよ!!あの人の男にビビっちまったみたいだ。チクショー!!タッグリーグ?ああ、やるよ!!やってやる!!」


▼第7試合 MWAインターナショナルヘヴィ、AOAヘヴィ級選手権試合・60分1本勝負▼
海崎 礼爾(王者) VS ウィル・ブロンソン(挑戦者)

↑海崎のチェインドヘヴンプランジ(左)、ブロンソンのフライングボディはカウント2.9 ↑この試合3度目の人間風車 ↑エグイ!!場外ノーザンライトボム!! ↑激戦は、最後まで大技が乱れ飛んだ

 観客は気付かなかったようだが、実はメインを控える海崎が大和-震助戦を通路入り口辺りから見ていた。試合が決まると、静かに眼を閉じた海崎。そして、「負けられないね」と誰に聞かれる事なく呟いている。震助が負けたからなのか、それとも自分が負けると思ったのかはわからないが、海崎がどうしても負けられない状況にあるのには違いない。

 今日の武道館にはこの二冠戦を目当てに来た観客が多くいるだろう。二冠王者となって日本に戻って来た海崎は、10.4で震助を迎え撃った。恐らくはM.O.Wの歴史に残る一戦を海崎は制し、どん底から大エースへと歩みを進めた事でファンの注目度も上がった。それがこの武道館を支配する熱気だ。
 日の丸とユニオンジャックが頭上に並ぶ。電光掲示板にMWAインターナショルヘヴィ、AOAヘヴィ、ダブルタイトルマッチの文字が踊ると歓声が沸き起こった。MWA会長ジェシー・ペイガン・シニアが選手権試合を宣言し、試合のゴングが鳴った。

 海崎の動きがいい。延髄踵落としからセントーンと先手を取ると、ブロンソンの両足タックルを切ってみせ、腕拉ぎ逆十字に繋ぐ。ブロンソンも焦らずにフライングメイヤーから関節技へのムーヴと教科書通りの組み立てだ。戦前、海崎の首を狙うつもりはないとブロンソンはコメントしたが、やはり首を攻めている。
 ネックチャンスリーでダウンを取ると、第二戦で海崎を葬ったクルックヘッドシザース。痛み止めを打ってリングに上がった海崎もキックのコンビネーションで密着戦から逃れようとするが、すぐにグラップルされてフロントスープレックスで簡単に引っこ抜かれてしまう。これで海崎も腹を決めたか、積極的に自ら密着戦を仕掛ける。

 中盤戦に入ると、ブロンソンの投げの威力がじわじわと海崎の体力を蝕んでくる。サイドスープレックスひとつ取っても、海崎の表情を見ればその威力がわかるというものだ。海崎コールが虚しく響く。
 しかし、海崎がノーザンライトボムからスコーピオンに入ると、海崎コールもポジティブなものに変化した。これは震助へのメッセージか?大和-震助戦の後だけに、この流れは印象深かった。が、相手はブロンソンだ。スープレックス後にはスリーパーとそつの無い攻めで、海崎にペースを握らせない。9.19アラモドームでの二冠戦の一本目と同じだ。

 海崎はMWAでブロンソンを敗った時は2-1で勝利している。一本目もこの試合のように、ブロンソンが試合を握っていたため、ストレート負けに終わる筈だと思われていた。だが、海崎は虚を突き、ブロンソンの背後に廻るとチェインドヘヴンプランジでまさかの3カウントを奪取したのである。
 海崎はそれを再現するようにチェインドヘヴンプランジを決めたのだ!!1、2、…入らない。再現ならず。二度も失態を喫する程、ブロンソンは甘く無い。ノーザンライトSP、必殺パールリヴァープランジと流れを断ち切らないように海崎は遮二無二になって攻めるが、ブロンソンは全てキックアウト。海崎コール一色になってもブロンソン有利は変らない。

 6分半過ぎ、温存していたワンハンドバックブリーカーから、戦慄の人間風車!!エルボーの連打だけで海崎が崩れ落ちると、ブロンソンは「カモン!!」と挑発。この挑発で喝が入ったのか、サマーソルトドロップ、ラウンディングボディプレスと連続で決め、カバーに入る。だが決まらない。
 ニ発目の人間風車後、ブロンソンは突如海崎をロープに振ると、何をするのかと思えば何とフライングボディアタック!!カウント3寸前で海崎が返すと地鳴りのような観客達のストンピング。凄い試合だ。

 それでも終わらないのが、海崎-ブロンソン戦だった。三発目の人間風車を喰らった筈の海崎があっという間に起き上がり、同じリバースネルソンで仕掛けるパールリヴァープランジでやり返したのだ!!後で本人から聞いたが、すでに記憶がなかったという。本能だけでやり返したという事か。ロープに近すぎてブレイクになってしまったが、この時の沸き様はM.O.W史上屈指のものだったと言ってもいい。
 誰もが認めるエースというのは今のプロレス界では難しいものだ。海崎がそうだと言い切る事は出来ないが、この試合の海崎の魅力は何ものにも替え難い。

 ブロンソンのボディスラムで場外に落ちた海崎だったが、何と場外でチェインドヘヴン、さらにノーザンライトボム!!ここまでやるか!!が!!リングに戻ったブロンソンは四発目の人間風車!!海崎はカウント2で返す!!どこまで度胆を抜かせるつもりか?しびれを切らしたブロンソンは最後のチャンスとフロントネックロックで海崎の首を極めたが、決まりが浅かったため海崎はこれを脱出。

 最後まで海崎はフェイヴァリットホールドであるパールリヴァープランジにこだわった。10分8秒、壮絶な試合にピリオドが打たれた。二冠王者海崎をブロンソンも清く称え、王者の腰にMWAインターヘヴィを巻いたのだ。まさにメインイヴェント。
 次期シリーズでは、世界の強豪を相手に全国を廻る。海崎・太宰には優勝の期待が掛かるだけにこの二冠戦を落とす事は出来なかった。さあ、次は“世界ストロンゲストタッグリーグ”だ!![谷町]

■第7試合結果■
海崎○(10分8秒 パールリヴァープランジ→エビ固め)×ブロンソン
#MWAインターナショナルヘヴィ、AOAヘヴィ王者海崎が初防衛に成功

■海崎のコメント
「シビアだった。最初にやった時(9.19二冠戦)よりブロンソンは乗ってたからな。場外でのノーザン?3本勝負じゃないし、震助の試合見て、迷ってたら負けると思ってな。だから、なり振り構ってなんていられなかった。やるだけの事はやった。それで勝てたんだから言う事ない。タッグリーグ?今は何も考えたく無いね。身体休めて、それから考えるよ。じゃ、これでいいかな?」

■ブロンソンのコメント
「ミスターカイザキは強かった。今度は勝てると思ったんだが、駄目だった。ただ、彼と試合が出来て良かった。また闘いたい。その時は私が勝ちますよ」


 10.4『サイン・オヴ・ザ・ハンマー』と、次期『ファイティング・ザ・ワールド』シリーズの谷間となった今シリーズだったが、終わってみればしっかりとテーマのあったシリーズとなった。M.O.WJrも新展開を迎え、プレ英連邦戦も防衛戦実現に向けいい流れが生まれている。“世界ストロンゲストタッグリーグ”出場チームも発表され、次期シリーズへの期待を煽るものとなったようだ。大和に飲み込まれた震助はこのリーグ戦で盛り返すしかない、二冠王者の名を守った海崎との激突は見逃せなさそうである。



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